あさあめの凡々日記

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【ニセコイSS】 春ちゃんIFルート(後編)

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(中編)→こちら

 

またまた気づいたら2ヶ月とか過ぎてました、本当にすみません。

やっと書き終わりました、最後のお話です。

春ちゃんIFルート(後編)。

 

IFルートのため、キャラ崩壊やありえないであろう展開となっていると思いますが、ご了承ください。

 

最後まで拙い文章となりましたが、よかったら見ていってください。

春ちゃんIFルート(後編)

翌日、私は屋上にいた。
時刻は放課後、グラウンドからは部活動の喧騒が聞こえてくる。
それに混じって、私の心臓の音もドクンドクンとよく聞こえてしまう。


今日は朝からずっとこんな感じだ。
決意こそしたものの、身体がまだ追いついてないように思う。
二度目の告白。
それもお姉ちゃんの好きな人であり、お姉ちゃんのことを好きな人に。

 

「うわー、絶対なんかおかしいよ」

 

改めて考えると、やっぱりおかしい。
なんで私がまた告白する羽目になっているのか。
確かに逃げてしまったのは私であり、自業自得なのかもしれない。
それでも、玉砕される告白を二回もしなくちゃいけないなんて……。

 

「人生で二度とないだろうな、こんなこと」

 

私は屋上でひとりぼやく。
そんな時、屋上の扉が開く音が後ろから聞こえてくる。
それと同時に、人の気配と足音も感じる。

 

「よう、春ちゃん
「……全く、遅いですよ、一条先輩」

 

私は振り返りながら返事をする。

 

「私のほうが集合場所に早く来てるなんて、珍しいこともあるもんですね」
「ああ、そうだな」

 

正面に一条先輩がいる。
今まで見慣れているはずの先輩も、今日は何だか目を背けたくなってしまう。
先輩も同じように思っているのか、少しだけ恥ずかしそうな表情をしている。
それでも、私は一条先輩の目から顔を背けない。
今日はもう逃げないと決めたんだ。

 

「一条先輩、私先輩に話があるんです」

 

前に告白した時には見れなかった先輩の表情が、今ならはっきりと見える。
あの時と何が違うんだろう。
今の私には、まだわからない。
ただひとつわかるのは、前よりも正直に気持ちが伝えられる気がする。

 

「私、先輩のことが好きです、大好きです」

 

言った、言い切った。
……大好きまでは言いすぎだったかもしれない。
改めて思い返すと恥ずかしくなってきた。
ただ、まだ我慢だ。
今日は先輩の返答を聞くまでがやるべきことなんだから。

 

「……そっか、ありがとな」

 

一条先輩がそう答える。
その言葉に私は内心喜んでしまう。
けど、そうじゃない。
先輩は優しいから、最初から絶対にひどいことは言わない。
だから、続く言葉には覚悟していた……はずだったのに。

 

「俺も春ちゃんが好きだ」

 

―――そんな言葉が一条先輩から伝えられた。

 

「は?」

 

その言葉の意味を私は簡単には理解できなかった。
今、先輩は何て言ったのだろう。
好き、誰を?
私。
私のことが好き?

 

「えええええ!?」

 

ようやく、その意味を実感したとき、私は叫んでいた。
もしかしたら、校舎の一階にまで響くほどの大きさだったかもしれない。
それほど、私にとってはありえないことで、衝撃的だった。

 

「何を言っているんですか、一条先輩」
「え、だから俺が春ちゃんのことを……」
「そうじゃなくて!」

 

先輩がもう一度言いそうになったのを言葉で制する。
もう何がなんだかわからない。
嬉しいって感情は湧いていない。
今あるのは先輩に対する怒りの感情だ。

 

「どうして、そうなるんですか」

 

最初は叫び声だったものの、最後の方は声がかすれてしまった。
怒りの感情も薄れていく。

 

「一条先輩はお姉ちゃんのことが好きじゃないんですか? それがどうして……」
「もちろん好きだったさ。中学の時からずっと」
「じゃあ、どうして私なんかのことを」
「……あの日、春ちゃんに告白されたときからずっと考えてたんだよ。確かに俺は小野寺のことが好きだ。じゃあ、春ちゃんのことは、って」

 

一条先輩はちょっとずつ私のほうに近づいてくる。
私には呆然とそれを見ていることしかできない。

 

「そしたらさ、今までの楽しい思い出が自然と浮かんできてさ。気づいたら春ちゃんのことだけ考えてて、自分の気
持ちが春ちゃんに向いてることがわかったんだ」

 

先輩は清々しいほどの笑顔を私に向けながら告げる。
その表情は本当に嬉しそうで、楽しそうで、それこそ私も嬉しくなるぐらいに。

 

春ちゃんからしたら、最低な人だって思うかもしれないけど、これが俺の正直な気持ちなんだよ。だから、春ちゃん、俺と付き合ってくれ」

 

真剣な眼差しを向けながら、私に言う。
それは本当に嬉しいことだし、喜ばしいことのはずなのに……。

 

「……そしたらお姉ちゃんはどうなるんですか」

 

これだけはきっと言っちゃいけないことだと思う。
それでも、嬉しい気持ちとやるせない気持ちがどうしても出てきてしまった。
だから、言ってしまった。

 

「一条先輩のことを好きなお姉ちゃんの気持ちはどうなるんですか!」

 

私は叫んでいた。
人の気持ちを勝手に伝える、私って最低な人間だ。
それでも、言わずにはいられなかった。


私の言葉に先輩は呆気にとられていた。
それもそのはずだ、最近まで好きだった人が、自分のことを好きだと知ったのだから。
今ならまだ一条先輩の気持ちもお姉ちゃんに戻るかもしれない。
望んでないはずなのに、望んでしまう。

 

「前までの俺なら、めちゃくちゃ喜んだんだろうな。でも……」

 

一条先輩は私の目の前まで来て、満面の笑みを私に向ける。

 

「俺が今好きなのは春ちゃんだから、小野寺の気持ちには答えられない」

 

そう、一条先輩は言った。
それが本気だってことは、顔を見ればすぐにわかった。
だからもう、私は一条先輩の顔を見れず、下を向いてしまった。

 

「……一条先輩がそこまで言うならしょうがないですね」

 

最後はやっぱり素直になれない。
だって、自分の気持ちを全面に出したら歯止めが効かなくなってしまう。
こんな嬉しい感情を味わったことがないから、顔だってにやけるのを抑えられない。

 

「ここで断ったら可愛そうですから、付き合ってあげますよ」

 

何故、上から目線になってしまうのか。
相変わらずの自己嫌悪。
それでも一条先輩は気にもせず、答えてくれる。

 

「おう、よろしくな」

 

お姉ちゃんには申し訳なく思う。
それ以外にも、申し訳なく思うべき人はたくさんいるのだろう。
だけど、やっぱり私は一条先輩が好きだから。
もうこの気持ちに嘘はつきたくないから。

 

「はい、よろしくお願いします」

 

今度こそ私は顔を上げ、先輩に向けて笑顔で返す。
久しぶりに心の底から笑えた気がする。
あ~あ、お姉ちゃんに何て言えばいいんだろう。
先輩のせいなんだから、先輩に謝ってもらうことにしよう、そうしよう。
私が自分の中で勝手に納得していると、先輩が喋りかけてくる。

 

「やっぱり春ちゃんは笑ってるほうが可愛いよ」
「先輩は誰にでもそういう事言いそうだから信じられないなあ」
「だから言わねーよ」

「……本当ですよ、これからは私だけにお願いしますね」

 

(完)

あとがき

今回は春ちゃんIFルート(後編)、はたまた(前編)・(中編)も見ていただいた方には深く感謝しています。

結局完成までに約4ヶ月ほどの期間を費やしてしまいました。

改めて見直すと修正したい部分が多くあるなーと思いながら、何とか最後まで書き切ることができました。

 

そもそもこのSSは(前編)のシーンを書きたくて、一気に書いたのが始まりでした。

その後、どうにかしてハッピーエンドで終わらせられないかということで続編を書いてみました。

ただ、やはりオリジナルの部分はキャラが上手く描けてない部分もあると思うので、読み込みが足りないのかなと思っています。

 

公開してからはコメントも頂いて、読者の皆様には再度お礼申し上げます。

読者がいるということを知るだけで活力が湧きました(2ヶ月かかってますけど)。

 

今後このようなSSはたぶん書かないんじゃないかと思っています。

書くとしても、必ず完成させてから公開することにしますね。

もし、もしですが、何か書いて欲しいタイトルなどがコメントでいただけた場合は必ず書きますね(知らないタイトルだったらすみません)。

 

それでは最後までお付き合いいだたきありがとうございました。