あさあめの凡々日記

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聲の形 6巻 感想

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前回→聲の形 5巻 感想

 

生きることは嗚咽。

人は静かな絶望の中を生きる。今も。彼らも。強く。

 

聲の形(こえのかたち)第6巻が発売しました。

感想です。

※以下、ネタバレ注意

 

 

飛び降りたその後・・・

西宮硝子は飛び降りた・・・。

石田はなんとか間に合いました。

それでも人一人っていうのは思った以上に重たいです。

 

西宮が助かった変わりに、石田が落ちた。

 

今回の石田の出番はここまでであり、内容の殆どがそれぞれの過去話でした。

皆がどうやってここまで生きてきたのか、何を思ってきたのか。

それが丁寧に語られていましたね。

 

今回はそれぞれのキャラクターに焦点を絞って述べたいと思います。

そうでもしないとまとまらない・・・。

 

永束友宏(ながつかともひろ)

将也のことをやーしょーと呼ぶ自称親友。

彼は強いと思いたかった。

だから、見栄もはった。

 

それが、友達を遠ざけてしまった原因。

 

言い聞かせることでしか、自分は強くなれなかった。

それが一番の自身だった。

そんな弱い自分を受け入れてくれたのが、石田将也。

 

友達となって親友となって、映画を作ることになって。

大事な友達だから、その友達の西宮のためにも何かがしたかった。

 

そのためなら、自分を強くしてくれた。

西宮に「死」の理由を尋ねることができた。

 

実際に考えを行動に移すことはとても勇気がいることだろうし、普通の人にはそれが難しい。

そんな普通の人である永束も、親友のためなら変われた。

 

石田がいない今、皆をまとめる人が必要となってくる。

それが永束なのかな、と。

 

ただの面白いキャラだと思ってたけど、自分なりに弱さを克服しようしてる姿は・・・かっこいいですよね。

佐原みよこ(さはらみよこ)

西宮と仲良くなったことでいじめの対象とされた女の子。

彼女の願いは、「自分を高める、変える」ことだった。

 

最初は自分が変わるために嫌な子から遠ざかっていた。

黙々と一人で、高めていった。

 

しかし、自分が変わるためには自分一人では無理なことを知った。

自分ではわからない自分を知っているのは、他人だからだ。

 

だから、嫌な子というイメージを変えることにした。

自分の気持ちを強く伝えることにした。

 

その変化が今の佐原を作った。

そのための精神的な柱が・・・西宮だったのかな?

 

あのときに自分がああできれば、こうしていれば、たられば・・・。

そんな自分を見ないでいいように、高めることを、変わることに努力をした。

 

それでもやっぱり、佐原は傍観者という立ち位置は変わってないのかな。

西宮に問い詰めるようなことはしない。

自分がしたいことを否定されれば、それに従う。

 

前よりは変わったし、強くはなった。

それでも、やっぱり自己満足で終わってるというような印象を受けてしまった。

・・・いや、これがよりリアルな人間なのかもしれないな。

川井みき(かわいみき)

いい子、という外面を信じている女の子。

この子の考えだけは未だに全く理解できない。

 

それこそ石田が呟いた

 

「心底気持ち悪いと思う」

 

という感想がぴったり当てはまる。

 

川井は自分しか見ていない。

自分が中心に世界が回っていると信じきっている。

だから、気持ち悪い。

 

過去も、今も、成長はしていない。

葛藤することも、ありえない。

 

聲の形の中で一番嫌いなキャラクターです。

真柴智(ましばさとし)

イマイチつかめない、イケメンの男の子。

上記の通り、よくわかってないというのが本音。

 

自分を正当化したいのか、いい子でありたいのか、正義感を振りかざしたいのか。

よくわからない。

 

それでも、川井よりは自分を理解しているような気がする。

自分が普通ではないということを。

 

最後の先生にお願いした後のニヤリ顔。

これはきっと、自分を「普通」だと感じた時の顔なのかな。

植野直花(うえのなおか)

石田のことが大好きな女の子。

現実に一番抗っているキャラでもあると思う。

 

植野というのは、石田に少し似ているところもあると思ってしまう。

好きな男の子が、自分の世界の中心に居座っている。

だから、その子のためにやれることはやる。

 

石田を落とした理由が西宮なら、西宮に怒りをぶつける。

石田の落書きを消したのが西宮なら、西宮に嫌がらせを行う。

 

敵となるものは全て排除するし、寄せ付けない。

自分が好かれるなら、なんだってする。

石田のためと思うのなら、昔の友だちとの仲を持つこともする。

 

石田と違うのは、周りのことを一切考えないし、理解もしないこと。

自分が第一に幸せになれることを考えてから、周りのことを考える。

 

それでも、今回のお話では自分を見つめなおす時間が与えられたような気がする。

石田が自分を選ぶのか?

 

「きっと選ばない」

 

この答えを導き出しただけでも、葛藤した意味はあるんじゃないかな。

この答えを見つけたから、ようやく次に進めそうになる。

 

それが、最後に西宮に音楽担当のメルアドを渡したことに繋がったと思う。

それにしても、小学生のときからずっと石田のことが好きとか、凄い乙女ですよね。

好きではないんだけど、嫌いにはなれない、そんなキャラクターです。

西宮結絃(にしみやゆづる)

西宮硝子を姉として守り続けてきた妹。

結絃がどうして死骸の写真ばかりを集めていたのか、その理由が明らかとなります。

 

死骸というのは無残です。

残酷です。

決していいものではありません。

 

それがわかっているから、結絃はこの写真を貼り続けていたのでしょうか。

「死ぬ」ということは残酷なことと伝えるために。

 

それも今回のことで「意味がなかった」と知ります。

結局、自分のしてきたことに何の意味もなかった。

硝子を守ることが自分にはできなかった。

 

ここで石田に答えを求めてることから、結絃が本当に石田のことを信頼してるのがわかります。

 

それにしても、結絃が背負ってきたものは重すぎる。

 

「死なないで」

 

それを伝えるにはどうしたらいいかなんてわからない。

言葉として伝える?

言葉だけではなんとでも言えてしまう。

 

心がどう受け取っているか、それが他人にはわからない。

答えなんて、見つからない。

 

自殺しようとした、なんて簡単に言葉にできるようなことじゃないですよ。

それでも平然と言ってしまう、それが事実とわかってしまっているから。

 

結絃はもう石田に頼るしかないんでしょう。

自分じゃ「死なないで」の答えが見つけられないから。

西宮硝子(にしみやしょうこ)

耳の聞こえない、そこだけが普通の人とは違うだけの女の子。

 

過ちを犯してしまった。

全てを壊した自分がいなくなるはずが、全ての中心であった彼がいなくなった。

 

彼女が提案する「映画の続きを作る」という行いの果てに、彼女は何を求めているのか。

本当に築き上げてきたものを直すためなのか。

 

西宮の真意は・・・わからない。

 

それでも、彼女が思っていることだけはわかると思う。

 

石田のいない日常生活で、昔の石田を思い出す。

小学校のクラスメートの石田。

西宮も楽しそうに笑って、他のクラスメートとも仲良くして。

 

どこにでもあるようなただの日常。

どこにでもあるような家族の団欒。

どこにでもあるような・・・。

 

そんなものがない世界に生きてきた西宮。

涙が出てくるのは、悲しみのせい?

 

空想の石田との会話。

これはあくまで西宮の空想ですよね?

過去の話・・・ではないと思います。

 

石田と会って、好きになって、本当に好きになって。

そんな石田が今はいない。

いつもの橋の上にもいない。

 

「いない」ということを理解するのにも時間は必要でしょう。

だから、ようやくそれを知ったとき、涙が出てきた。

石田がいない世界があることに、涙しか出てこなかった。

 

次に石田と会うときに西宮はどうするのか?

やっぱり、ハッピーエンドが見てみたいな。

石田将也(いしだしょうや)

昔のいじめっこで、いじめられっこでもある男の子。

西宮のことを思い続けると決めた。

 

自殺なんてものは、それが現実となるまではわからないんですよ。

それはきっと自分のせいではない。

 

それでも、考えてしまう。

どうすればよかったのか、何が間違いだったのか、何かできなかったのか。

そんな葛藤が頭のなかでグルグルと回り続ける。

 

きっと石田はこういった選択に正解しなければいけない。

救うためには、失敗は許されない。

 

今回はたまたま助けることができ、自分は助かった。

 

それは偶然であり、必然かどうかは神のみぞ知ることです。

作者はそりゃ知ってるでしょうね(笑)

 

目覚めた石田。

西宮のもとへと向かうであろう石田。

そこからどう物語が進ものか、非常に楽しみです。

 

総括

5巻辺りまでは普通の恋愛モノとなってきていた聲の形。

それが最後で、重いモノへと変わった。

 

これが聲の形ですよね。

賛否両論だろうが、普通じゃ描けないものを続けて欲しいです。

 

第7巻が楽しみですね。

 

次回→【感想】聲の形 7巻(最終巻)