【感想】聲の形 7巻(完結)
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前回→【感想】聲の形 6巻
泣かないで、西宮。
なぜ生まれてきたのか分からない、すべての少年に。
聲の形、最終巻が発売されました。
衝撃的な問題作として注目を浴びた本作品、7巻という短い巻数にも関わらず印象深い内容でした。
『このマンガがすごい!2015』オトコ編第1位にも選ばれて、批判が多けれど話題となった作品であることには間違いありません。
障害者・西宮硝子に対する将也の対応がもたらした結果はどうなったのか・・・。
聲の形、最終巻の感想です。
※以下、ネタバレ注意
目覚め~文化祭まで
ついに将也が目覚めました。
寝ている間に見ていた夢は、永遠に訪れない夢の様なお話。
そして将也は西宮と再会します。
将也は今までのことを全てを込めて謝ります。
それに対して西宮も返しました。
手話によってマンションから飛び降りた理由を説明します。
通訳が存在しない、手話同士のお話。
その説明に将也は答えます。
「でも…それでもやっぱり、死に値するほどのことじゃないと思ったよ」
この二人は一体何を思い、何に悩んだのでしょうか。
過去のこと、今のこと、そして未来のこと。
全てを含めた葛藤だったのでしょうか。。。
西宮硝子はその結論を死とし、石田将也はその結論を死ではないとしました。
これが成長なのか、逃避なのか、結論なんて存在しないのでしょう。
けれど、将也が出した答えを、西宮には理解して欲しいなと思いました。
その後は石田家と西宮家で食事会。
このときの西宮母の言葉がとても印象的でした。
「私たちは幸運すぎます…!」
「たち」としたのは西宮が生きてたこと、将也が生きてたことを含めたからでしょう。
あの高さから落ちても助かったのは本当に幸運だったのだと。
わだかまりが両家に残るのかと思いきや、大人はお酒が入って会話をして仲良くなった様子。
これが表面上だけなのだとしても、それはいいことなんじゃないかな、と。
けど、きっとこの笑顔は心のなかでも許し合ってるんでしょうね。
文化祭
学校に行くとこを決めた将也。
みんなと話す準備をして、いざ文化祭へ!
と思っても、なかなかそれを行動に移すってのは難しいですよね。
✖印は未だに消えないまま。
それでも西宮と共に映画へ。
無声映画字幕ありを見て、感動し、最高だったと本音を言う。
ここでやっとみんなの顔を見ることができます。
✖印も消えていく。。。
仲良くなることを選んだ将也は前に進んでいきます。
文化祭以降の日常
映画の公開選考会は散々だったけど、現実こんなものなのかな、と。
最初から評価されることなんてないだろうし、評価する側もこんな人は普通にいそうな気がする。
そしてみんなはそれぞれの進路へ向けて進んでいく
永束は映画の専門(大学?)へ。
真柴は学校の先生になるために杭瀬大へ。
川井は好きな真柴と同じ大学へ。
佐原・上野は東京へ。
そして西宮も理容師になるために東京へ・・・。
将也は西宮の東京行きを反対するけど、わがままってのに気づきましたね。
結絃も応援することに同意し、将也は西宮の東京行きを応援します。
西宮も将也も、恋人といった関係ではないけれど、やっぱりどこかつながり合ってるんですよね。
二人が生きるためには、二人がいなければならない。
これが、制約のように存在しているのでしょう。
いいものなのかどうかという判断はできません。
ただ、これが二人の全てとなっているんですよね。
そして突如登場する植野。
いつもいきなりですよね。
このときの布団の上の植野は凄いエロいな~って思いました。
聲の形で西宮と将也の次に成長したと言えば、この植野直花じゃないでしょうか。
きちんと自分を見つめなおし、正直になり、行動と言葉にする意志があります。
ちなみに知らないこと3つめっていうのはきっと、
植野が将也を好き
ってことでしょう。
ま、推測ですがね。
そして物語は完結へと向かいます。
将也たちは卒業し、西宮は東京へ。
プレゼントに関することはようやく聞けましたね(笑)
物語の終幕・成人式
最終話を見て思ったのは、みんないい表情してるなあって。
最初の時とか、嘘くさい顔ばっかだった気がするんですよね。
それでも今では楽しそうだし、前よりは自分に正直な生き方をしてるんじゃないでしょうか。
う~ん、さすがに考え過ぎというか言いすぎかな。
そして同窓会・水門小。
全てが始まって、終わらせた過去の世界。
つらい過去しか見えない世界でも将也はそこに可能性を信じています。
一人だけではこの可能性なんて生まれないし、そもそもつらいなんてこともなかったのでしょう。
けれど将也は今を生きます。
西宮と共に可能性ある未来に向けて。。。
あとがき
聲の形の感想って、何か感想ってよりは自分の想いをぶつけた何かになっちゃうんですよね。
それはきっと聲の形という物語とキャラクターたちにいろいろな想いを持つからだと思うんですよ。
いずれまとめ的な感想もかければいいなあと思っています。
まあ、自分の想いを文章にするだけなんですが・・・。
聲の形は肯定も否定もできないし、共感も得てはいけない作品だと僕は思っています。
それは将也の行いが良かったのか、悪かったのかを決めることは難しいからです。
実際にそのような現場がどっかでも起こっていると思いますし、簡単にそれを止めることは叶いません。
将也が悪いのか?
なら、西宮は将也を許さないではないか?
自分が納得する答えは人それぞれだと思います。
それでも作者は聲の形にて一つの解答を示してくれました。
つらい過去は無くならないが、それを見つめなおすことはできる。
未来への可能性はいくらでもあるのだから、過去だけに捕われないで輝かしい未来を進むこともできる。
将也と西宮にはこの先困難もあるのでしょう。
それは相当つらいことかもしれません。
でも、将也は二人でなら乗り越えられると信じている。
ぜひ、後日談として将也と西宮の結婚式とか読んでみたいですね。
素晴らしい作品をありがとうございました。